災害時:体も脳も休むべき時に休ませて
心理・精神科臨床
2024.07.30
と言われたからと言って思い通りにならないのは当たり前なので
日常が転覆するような、命も脅かされるような出来事のあと
ここから何とかしていかなければ、という「闘争」モード
何をしていけばいいかわからない茫然とした「フリーズ」モード
このようなモードは、圧倒される事態に対して自分の心身の安全を守るために発動する自然な反応。
「元気を出す」ことも「悲しむ」ことも、ひとから強制されるものではないですよね。
安全な場所からの、安易ななぐさめや無責任な励ましは不要。
おいしい、ここちいい、ほっとする、そうしていい時には十分にそうできるように、周囲にいるわたしたちは心を配れたら一番でしょう。
脅威に出会ったときは、野生のスイッチが入るので、緊張や不安が持続します。
野生(原始)の状況ではちょっとした物音で目が覚めるなど、警戒しながら夜も生活していたでしょう。また、昼間出会った猛獣が現れないかと、のんびりできなかったでしょうね。
通常、動物たちは、すぐ立ち上がって走り出せる姿勢で休んでいますよね。人類は、鍵の掛かる、安全な空間を手に入れたことで 上を向いて(内臓部分を無防備にして)ぐっすり眠ることができるようになりました。おなかを出して寝る動物は人間と飼われているペットだけです。
まとめますと
災害などの脅威に出会ったとき、自分を守るために「安心していてはいけない」というスイッチが入りします。そのため「安心して安全を感じていい時や場所」が確保されても、そのスイッチが切り替わらずに、不安や緊張が続いてしまうのです。衝撃が大きければなおさらこの状態は強く、長くなりがちです。
ここで「不安や緊張が和らぐと、眠れたりリラックスしたりできるだろう」と考えてしまいがちなのですが、たしかにそうですが 内受容感覚は、感情や認知の根源である ということを確認しましょう。
内受容感覚(inteoception)とは、呼吸や心拍、消化器の動きなどを体からの情報を感じ取ることです。ドキドキするとか、おなかがすいたとか、イメージしてみると感情の状態と結びつきが強いことがわかると思います。このとき 身体に意識を向け、安心やリラックスを感じている内受容感覚の状態に導くことで、感情の状態が変化する というのが自律訓練法であるといえます。
ほかにもシンプルに息をゆっくり吐く、ということも推奨されています。
また 緊急モードの時は、あれこれと頭の中をぐるぐると様々な考えが浮かび続けやすくなります
とはいえ、「今考えてもしかたない」「リラックスしよう、眠ろう」と思っても、さまざまなことが頭をめぐって思うように休めないことも多いものです。これも自分自身の緊急モードが自分の為に必死に作動しているからではあります。
脳も休むことが大事です。休んでいる間も脳は大事な仕事をしていますから。
でも「休ませなきゃ」と焦燥が生じればまた休みにくくなってしまいます。
「眠らなきゃ って思うから眠れなくなる」と言われますが
「眠らなきゃって 思わない努力をする」ということ自体、リラックスしているとはいえませんよね。
今日は 睡眠時 に絞ってご案内
「身体に働きかける」身体指向性のアプローチは脳科学の発展に根拠を得ながら、とくにトラウマ治療において力を発揮しているといえます。安全に提供できるスキルとして
コレモ(コミュニティ・レジリエンシーモデル) を学んでおきましょう。
ポリヴェーガル理論の理解とセルフケアについて 学校や職場などで一般の方に知識やスキルの提供を考えている方は 服部さんが提供している コレモの講座をお勧めします。
こちらは「だれでも使える 教えてよいスキル」のほうですね。
基礎講座は無料で視聴できますが、専門職として提供を考えるのであれば次の応用セミナーも受講しましょう。
しかしこういう内容であっても、どのようにどんな言葉で伝えるか、によって効果は大きく変わるでしょう。服部さんの声のトーン(音調)や間合いなども治療効果のひとつの要因だろうと思いながら聞いてみるのもよいかと思います。
20分程度の 家庭向け 学校向け 施設(職場)向け のアニメもできていました!
重ね重ね、専門職として提供するならば応用セミナーまで受講を検討しましょう!
(ただし応用セミナーは回数が少ない様なので、スキルを共有することが優先ということも理念からは許容されることかとは思います。)
なんと服部信子さん 来日中。