摂食障害の魔物モデルから早期発見を考える
摂食障害
2024.04.20
「摂食障害こころ版 アノレッキーの話」2
前回のコラムから少々時間が経ってしまいましたので、ご自身で「アノレッキーの話」のつづきを読んでくださった方もいるようです。なにより。
ここでは回復に至るまでと、回復の途中でアノレッキーはすきあらばとささやきかけること、本当の回復はただ「食べること」なのではないこと などが書かれています。
このお話は重症とされる段階からの回復の道のりを示してくださっていますが
この「道のり」を逆に読んでいくと、これは重症化に至る道のりということもできます。
アノレッキーに「支配されかかっている」状態にどのように気づいていくか、見逃さないか
のヒントがあるでしょう。
この(4)の段階 アノレッキーが浸食をはじめているけれども、身体や脳は低栄養の影響を大きく受けていない段階、このような段階でかかわれると、現実の生活の犠牲を最小限度にしながら、そして「こころ」のことに初めからとりくめるでしょう。
痩せによって得られる高揚感は、マッチ売りの少女の燃やすマッチの炎のようなものです。
ある瞬間その素晴らしさに目がくらみます
「わたしの欲しかったものはこれ!!」
「こんなことができるなんて!」
「またあのすばらしさを味わいたい!」 と熱中します
そしてマッチが消えた後の 苦しみ、孤独 という暗闇への恐怖にあわててまたマッチを擦るのです。
「早く次のマッチを擦らなきゃ!」
アノレッキーはささやきます
「マッチを燃やせばすばらしい価値のある体験ができるよ」
「次々と燃やさないでいると価値のない存在になるよ」
しっかり理解しておきたいのは
「アノレッキーみたいなものにだまされちゃった愚かなひと」ということではないのです。
アノレッキーの魔力は、本来太古の昔から人間(動物)を飢餓から生き延びさせるために備わった装置を悪用したことによってもたらされています。これについては「飢餓症候群」についての知識が重要です。
アノレッキーは食事をコントロールさせるだけではなく、勉強やスポーツなどを「ほかの人には真似できないほど頑張る」ようにささやき続けます。それがはた目には「努力している」「結果も出している」「とってもいい子」と見え、お気に入りの、自慢の子ども、生徒 となっていることは少なくありません。そのことが「早期発見」や介入を遅らせている大きな要因でもあるでしょう。