摂食障害:なぜ受診が遅れるのか2

とくにスクールカウンセラーのための解説

2012年9月 県臨床心理士会の研修でお話したものから一部をご紹介。
西園マーハ文先生をお呼びした研修でのお話も引用させていただいています
12年前のお話だということを意識しながら、ご自身が感じること考えることを大事にしながらお読みいただけたらと思います。内容としてはまずSCへ、次いで医療にいる心理職へ。

「経験がありません」「できません」ではなく、地域である意味”ありふれた”疾患”としててみていけるようにしましょうという精神神経学会の提言。10年後には「10年前はそんなこと言ってたね」になりたいものです。

「摂食障害」ということばは、そもそもは「食べることに関しての病的な状態」に幅広く使われます。高齢者の嚥下や咀嚼の障害によって生じる状態にも使います。その「場」によっては「摂食障害」への対応といえば、飲み込みやすい食材の工夫や言語療法士による嚥下トレーニングなどが行われるでしょう。なので「うちのおばあちゃん摂食障害でリハビリしてる」と聞いても驚かないこと。
余談ですが、庄内ではこの嚥下食に取り組んでいらっしゃる方がおられますね(「食卓に、笑顔を〜えん下食シェフの調理場〜」NHKハートネットTV 写真を張り付けられなくて残念ですが、感動的な孟宗汁を見てください!!)

ですので「摂食障害」という言葉のみで、「拒食・過食嘔吐」などの状態像と混同しないように。
また児童や思春期に「食べる量が減っている 食べられなくなった 体重減少してきた」・・・という現象も、必ずしも「拒食症」ではありません。


 不安感から来る「のどのつまり」(入っていかないのみこめない)
 嘔吐恐怖(吐くのではないかという強い不安)
 会食恐怖(給食が摂れない分を自宅で補えなければ摂取量は減少する)

 そのほか精神症状としての食思不振・たとえば被毒妄想

なども知っておかなければならないでしょう

それらの見立てのために聞くこと、確認することを知っておくようにしましょう。つなぐ先も緊急性も異なるでしょう。
       

受診の遅れには様々な要因はありますが、おおむね以下のような事柄に分けられるでしょう。

受診につなごうとするとき、それまで「こちら側」(学校、SCなど)は「この問題」をどうあつかってきたのかを問うことが大事です。

入院生活になるとどのようなことがおこなわれていくでしょうか。入院が「体重増加」だけを目的として、退院後の治療との連続性が乏しい(〇kgになったらまた入院という設定はあるにしろ)と、治療から脱落して「隠れた病者」が多数生まれ、時に瀕死の状態で急患に運ばれる・・という現象は都会だけのものではないでしょう。

一方で、もう少し温かみのある血の通った治療をイメージした時に、
拒絶的だったり、一見親しげでも行動には変化が見られないなどから、「関係作りから」というような発想になりがちなきらいもあります。子どもや若い女性も多いことから「心理の人に話し相手に」というようなリクエストをいただくことも多いようです。
「体重増加工場」のような環境になかば放置しているよりも良いではないかと思われるかもしれませんが・・・

しかしながら・・・

受診を拒んでいるからと言って学校という場でスクールカウンセラーとして「関係づくりからはじめる」とか、「心理テストをしてみてから」など言うことのないようにしましょう。信頼関係は重要ですが相手の「どの部分」と関係を持っているのか、やり取りしているのかを見誤らないようにしなければなりません。
自身が受診の遅れの要因にならぬよう、抱え込まずに臨床をしている方から助言を受けていくほうが良いでしょう。

予防教育にも落とし穴があります
「ダイエット(拒食症)はこんなにおそろしい」というような講話は、危険です👿  次回へ