摂食障害を魔物モデル(Treasure,J)で考える
摂食障害
2024.04.03
「摂食障害こころ版 摂食障害アノレッキーの話」1
独立行政法人 国立病院機構 長崎病院. 小児科・小児心療科. 錦井 友美.先生が作成されたものです。
利用自由とのことでこちらでもご紹介させていただきます。この資料は星ヶ丘マタニティ病院のホームページからいただきました。
摂食障害における考えや行動をそのひとの自由な意志としてとらえて「そのひと」と争ったり説得したりしてしまうことがよく起こります。そこで起こる綱引き、駆け引きに明け暮れていると「強情」であるとか「嘘つき」であるとかいう否定的な感情や無力感が沸いてしまうことも起こりやすいものです。(本来は敏感で他者配慮的な人たちです。)
そのような状況の時、その人にはこの「アノレッキー」がとりついて増大、支配している、という魔物モデル(外在化)の見方を共有することはとても有効でしょう。
このような理解は、まず周囲(治療者、スタッフ、保護者そのほか)にとって重要でしょう。
周囲がこの理解をしっかりと持つことによって、
さまざまな軋轢もこのアノレッキーがさせているのだ(本人に怒りを向けずにいよう)
ここから救い出すことが重要なのだ(時には断固として譲らないことも大事だ)
そしてアノレッキーはもともとはやわらかく敏感なものからできているのだ(身体の回復を優先しながらも、ほんとうに見ていくべきところはこのこころのところなのだ)
というような構えをとっていくことができるでしょう。
治療のプロセスにいては、しばしば「本人の希望」「自由」「意志」を無視してよいのかどうかといった議論や、「〇〇を許可しないなんてかわいそう」といった批判が出ることもあります。ご本人もなかなか粘ります。そういう中でかかわっている人同士に対立が持ち込まれてしまうことも間々あります。(先生(治療者)は厳しすぎるよね、とかいってこっそり許可するとか…ですね)
このような時、本人からのなんらかの要望や交渉という形で、わたしたちが聴いているのは「本人の声」か「病気(アノレッキー)の声」か、注意深く見分けよう、というような姿勢が共有できていればこうした状況を感情的にならずに話し合うこともできるでしょう。
続きは次回
魔物モデルについては
Treasure,J;Anorexia Nervosa:A Survival Guide for Families,Friends,Suffers.Psychology Press,London.1997
(傳田健三、北川信樹訳:拒食症サバイバルガイドー家族、援助者そしてあなた自身のためにー」金剛出版。東京、2000)