摂食障害治療における心理職の役割

日本精神神経学会摂食障害治療に関する特別委員会による提言から

2024年1月22日 日本精神神経学会「摂食障害治療に関する特別委員会」から

「摂食障害治療に関する提言」が発出されました。

学会からのメルマガでの紹介です

摂食障害は、肥満恐怖、厳格な食事制限や代償行動を呈する難治の精神疾患であり、コロナ禍を機に患者数は益々急増しています。
精神科医療の現場での治療や支援体制をより一層強化し、精神科医に摂食障害治療に取り組んでいただくための課題について議論する場の必要性から「摂食障害治療に関する特別委員会」が発足されました。

本提言は、摂食障害が「重篤かつ回復可能な精神疾患」であり、精神科医療が責任をもって治療にあたる必要性を明確にし、さらに、治療・医療連携モデル、精神科専門医制度における摂食障害の診断、治療の教育体制の重点化、早期介入から回復までの地域包括ケアの体制、矯正精神科医療における治療、公認心理師・多職種の治療参加に関して、委員会内で検討した内容を、精神科医療に従事する方、特に日本精神神経学会の会員の皆さまに向けて作成したものになります。

今後もより一層、摂食障害の治療や支援に役立てていただけますことを強く望んでおります。

(摂食障害治療に関する特別委員会 委員長 中里道子)

こちらにPDFがあります「摂食障害治療に関する提言」

重篤かつ回復可能な精神疾患 という宣言

摂食障害、特に神経性やせ症は慢性化しやすく、追跡期間 10 年以上の研究では 73.2%
寛解、8.5%が改善していた一方、13.7%が慢性化し、9.4%が死亡していた。慢性例の中
には「重症遷延性神経性やせ症」(Severe Enduring Anorexia Nervosa(SE-AN))となり、
特定機能病院精神科に対して入院治療要請がなされる状況にある。

提言より

この提言における心理職の参考文献として、西園マーハ文先生のお勧めとご指導でまとめることができました拙著を挙げていただいております。
「専門医のための精神科臨床リュミエール 摂食障害の治療」 中山書店 2010
p149‐162「一般病棟での摂食障害の治療の工夫:臨床心理士を核とした導入期の治療展開」

同書の メテオ・メディカルブックセンターによる紹介ページでは、目次や各著者の参考文献一覧を見ることができます。少々長くなりますが私の挙げた参考文献を以下にそのままひいておきます。**1)は絶版ですがときどきAMAZONでで中古本ででます。ぜひお読みください。
「どうして食べられないの? -摂食障害で逝ったわが娘の記録. 」は絶版ですが、ホームページにつながるように残してくださっているようです。治療の経験の浅い方、「技法」を取り入れては空回りしている方に、書籍でお読みいただきたいですが・・。直接手渡しでいる方にはお貸ししますので、お声かけください。

参考文献