ウンチ問題「智慧の書」降臨!
子どもの排泄心理検査
2023.08.24
「本書は啓発の書である…」
・・・かもです💦 と帯では謙遜されつつも 「最後までみっちり詰まってるよ!」と
そこかしこにユーモアの仕掛けが。2023年6月発刊。診断と治療社 4900円です。
小児外科医 小児神経科医 児童精神科医 小児消化器科医 という 4つの領域の先生方から
それぞれの立場からの 遺糞症 便失禁 が解説されています。
本邦初!
小児消化器科医・児童精神科医・小児神経科医・小児外科医の4つの視点から遺糞症・便失禁の臨床を徹底的に解説したテキストの登場です!本書が遺糞症(便失禁)の診療にかかわるすべての人の教科書でもあり,バイブルでもあり,マニュアルでもあり,物語でもあることを確信しております. ~本書「あとがき(十河剛先生)」より~
本書を読んで学べること
→遺糞症・便失禁患児のからだの診かたとこころの診かた
●巻末附録に十河剛先生と角田智哉先生による対談企画「小児消化器科医と児童精神科医の対談」を収録!
Amazonから引用強調されていること
* 便失禁(遺糞症)は患者数が多いにも関わらず、夜尿症に比べて認知度が高くない。
* 便失禁を伴う便秘は重度だが、基礎的な知識も十分に共有されていない。
* 関連する診療科の連携が必要だが、どこにどのようにということがわからない状況にある。排便の問題を生じる様々な身体疾患について、各領域の先生方が詳しく述べられていることも、この本をぜひおすすめしたい点です。
さまざまな子育て、生活の困りごとは、最初から身体をみてくださるところに相談されるとは限らないのですよね。最初の、あるいは何人目かの「専門家」が我々ということがありえます。
ご家族やご紹介者が「メンタルなもの」と仮定されていたとしても、実は身体的な疾患だったという経験は少なくはないものです。当然のことですが、「どのような疾患があるのか」という知識があって、それを念頭に置きつつお話を聞けるわけなので、子どもの相談を受ける立場の方々にぜひ読んでいただきたい一冊です。たとえば
「いやなことがあると固まる」というご相談だったが、てんかん発作だった
「友人関係の悩みでうつ状態」というご相談だったが、甲状腺の疾患だった など
よくよくうかがっていかないと「早わかり」してしまいがちです。
「早わかり」にもとづく誤った判断については名著があります。
山下 格著「誤診のおこるとき」みすず書房 3960円
2021年「新装版」として症例も追加されていますが、1997年の同著の副題は「早まった了解を中心として」。一見心理的な要因が明確と思われる、しかし実は身体疾患であったという多くの症例を紹介されています。
NHKで放映されていた「総合診療医ドクターG」でも常に「精神疾患を仮定するのは最後」と常々強調されていましたね。もちろん心理職としてはすべての身体疾患を詳細に知っている、などということは不可能ですが、重篤な疾患すら「心理的なものにみえる」という落とし穴に自覚的でいたいと思います。
ところで 本書のなかでも 児童精神科医の角田智哉先生が、発達障害と「検査」について言及されています。
知能検査を行うのは、世にいう「凸凹を見つける」ためではないということも知っておいてほしいポイントです。(中略)そもそも診断基準には知能検査の如何は含まれていません。これは、知能検査が発達検査と言われていることによる功罪かと思います。
p110 「背景に発達障害があると疑ったとき」より
「WISCは発達障害の診断ツールではありません」という明確に注意を促す文章に出会うことが増えました。発達障害とその評価をめぐる誤解は拡大するばかりで、懸念を深めていらっしゃる方が少なくないことがわかります。
あらためて 何のため、誰のためのアセスメントか・・?
MSPAの伝達講習は後日の配信も対応していますので、一つのヒントとして、触れていただけたらと思います。MSPAを実施して感じていること、また講習受講の実際(会場、オンラインのそれぞれの様子や申し込み方法など)などをお伝えします。