臨床心理士として子ども排泄の困りごとに取り組む理由:便秘のこと①
子どもの排泄
2023.04.01
はじめに次の記事を読んでみてください。
- 「子供の便秘を正しく知る」小児外科医 中野美和子先生 NHKアーカイブ
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/467797.html
- 「子供の便秘…重症化すると便漏れも」ヨミドクター(読売新聞)
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20131010-OYTEW52065/20131003-OYTEW13706/
お子さんの育ちや不安やこだわりなどのご相談をお受けしている中で、排せつに関する困りごとは多く聞かれます。なかでも、小学校入学を前に、あるいは入学しても、トイレで排せつができない、便漏れがあってオムツが外せない、コロンとした便がおちている、夜尿が続いている、などのご相談を受けることが増えました。
とりわけ便秘のお子さんには、排便時の苦しさと痛み、その後の痛みから<排便恐怖>というべき状況に陥っているケースが少なくないこともわかってきました。
人間にとって、恐怖や苦痛を感じる体験を避けようとすることは自然な反応です。たとえば注射と同じで、幼いうちはびっくりして大泣きしますが、成長するにつれその意味を理解し、不安や恐怖をコントロールするすべを身に着けていきます。
しかし注射は一瞬の痛みであり、年に2,3度のこと、「おともだちもしている」こととして受け入れることができます。(もちろんご病気によって頻繁に痛みのある治療を受けているお子さんもいらっしゃいます。ここでは予防接種などを念頭に置いてお伝えしています)
これに対し、固くて大きな便塊の排出は、30分や1時間以上にわたる腹痛、冷や汗にさいなまれ、つづいて排便時のまた排便後の痛みに襲われます。注射の時のように抱っこしてもらいながらすることもできません。そうして排便を回避するようになる悪循環に陥っている状態です。
臨床心理士としてお手伝いできることは、この状態をトラウマによる恐怖症状としてとらえ、恐怖をやわらげること、お子さんの年齢や性質にあわせて「なにが起こっているか、どうしていけるとよいか、を遊びを通して伝えていくこと」また、ご家庭の生活の状況やトイレの場所、お子さんのこだわりや大好きなことなどをお聞きしながら 目標やご褒美の決め方もアドバイスし、行動の変化を目指します。
どんなに幼くとも、ひとりひとり生きてきたそれぞれの歴史があります。その物語を共にたどりながら取り組むことを大切にします。
ただし、排便の困難さに器質的な問題〈腸の異常やそのほか身体的な原因)がないことを確認することが必要です。お薬や検査、指導はあくまで医療で行われるものです。ここでできることは、そのことがよりスムーズ取り入れられ、実行できるようにお手伝いをすることです。
当オフィスへのご相談をご希望される場合は、かならずかかりつけの先生に事前にお尋ねください。
ご相談にあたっては 日本小児栄養消化器肝臓学会 https://www.jspghan.org/ から
「小児慢性機能性便秘症ガイドライン」 をお読みください。
学会ページから、かわいいパンフレット、排便日誌をダウンロードすることができます。
*なお 当オフィスがホームページにて上記をご紹介することにつきましては、当オフィスの取り組みの趣旨をご説明の上、日本小児栄養消化器肝臓学会よりご了承いただいております。